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九大学研都市駅

Kyudai Gakken Toshi Station
九大伊都キャンパスは2005年10月に開学したが,その玄関口として筑肥線・複線高架区間に開業した,2017年時点で筑肥線では最も新しい駅になる。周船寺までの区間は福岡市内にあり,当駅も本来なら福岡市内駅となるべきだが,1983年3月に筑肥線の博多~姪浜間を廃止し,福岡市地下鉄に乗入れる形態になったため,福岡市内駅からは除外されている。しかし新神戸駅のように,新神戸~三宮を別途地下鉄で移動することで,神戸市内駅が継続するのと類似した扱いは,技術的には可能だろう。

Tc1536 arriving at Kyudai Gakken Toshi Station
箱崎キャンパスからの移動は,地下鉄~JR~昭和バスと初乗りを3度払うことになるし,地下鉄線内でも1回は乗換えが必要になるので,乗換3回810円(九大ICカード所持者は740円)は便利とは言い難い。考えてみれば,筑肥線の姪浜以東があった時代なら,六本松キャンパス(鳥飼駅)からの移動は,(単線・非電化の運行頻度の問題を別にすれば)比較的容易だったかも知れない。写真は九大学研都市駅に進入する,福岡市交通局1000系最終(第18)編成。(2017.2.27)
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査読雑誌の終焉

昨今は大学においても短期的な成果を求められ,特に「大学ランキング」が重視される傾向がある。中でもインパクトファクタの高い国際雑誌の登載論文が重視される傾向にあるが,Web of Science®に含まれる論文の使用言語(2013 年)を見ると,英語が96.1%,次がドイツ語の1.00%であり,日本語は11位の0.06%に過ぎない。

日本の高等教育は,明治のお雇い外国人から始まり,如何に海外の知識を取り込んで消化するかに力を注いできたが,これからは如何に知識を伝えるかが重要であることは論を俟たない。しかしその反動として,日本国内の学会誌が空洞化する懸念もあるし,人文・社会科学のように,執筆から刊行に至る周期が長い分野では,過去2 年間の刊行論文における引用のみを計測するインパクトファクタは,影響を的確に捉えるものとは言い難い。

近年は研究成果が数量的に評価される場合が多いため,論文投稿数やそれを掲載するための査読雑誌も増加する傾向にあり,いわゆる「査読公害」が発生している。本来は雑誌紙面という限られた資源を効率的に配分するために,査読システムが必要とされたはずだが,現在はWeb等を通じて,いつでも誰でも研究成果を公表するチャンネルは確保されている。従って査読雑誌という20世紀型のビジネスモデルを脱して,事前査読から事後評価への転換が必要な時期に来ていると感じる。

単純にダウンロード数の多寡で論文の質を評価することは危険だが,例えばWeb上に公開された論文への「良いリンク集」が,既存の学術雑誌に取って代わること等が考えられる。学術雑誌の世界では,Elsevier, Springer, Wiley-Blackwell等の一握りの出版社による寡占化が進み,独占力を行使した値上げが繰り返されるが,そろそろ「出版社外し」を考えてもよい時期に来ている。

むろんWeb上でも,同様の主張は散見されるので,一部を例示しておく。
  • 査読はどうあるべきなのか
  • なぜエルゼビアはボイコットを受けるのか
  • 学会誌をどう出版するか:商業出版社に託す場合の注意点
  • Bangkok BRT-廃止から存続へ

    BRT Sathorn Station
    BTS Silom線の(S3)Chong Nonsi駅と(S10)Talat Phlu駅をチャオプラヤ川左岸沿いに迂回するルートで,2010年5月に開業したBangkok BRTだが,開業から7年を迎える2017年4月末限りで廃止されることになった。

    利用者の少なさから,一時期運賃を5バーツに割引くプロモーションを実施したりしたが,13~19バーツという区間制運賃は,空調無しの一般路線バスの均一6.5~9バーツと比べて割高であり,最後まで利用者が増えなかったこと。そのため一般車線の激しい渋滞と比べて,BRTレーンがムダな空間に見えたことが理由として挙げられる。(本当は1レーン当たりの通過台数ではなくて,通過可能人員で効率性を評価すべき。)

    BRT沿線の地区には,MRTグレーラインの計画はあるが具体化はしておらず,BRTレーンを一般車線化することで,代替となる路線バスは所要時間が予測できない状態に逆戻りすることになる。写真はBTS Chong Nonsi駅に接続する(B1)Sathorn駅で降車扱いをするBRT車。(2013.3.23)

    【続報】バンコク都政府は3月27日に廃止の方針を撤回し,BRTの存続を図ることになった。沿線に代替交通機関がないためで,今後は運賃値上げを含む再建策が実行される。

    Reading Railroad

    Reading Terminal, Philadelphia
    Reading TerminalはReading鉄道の本社機能を併せ持つ駅本屋(headhouse)として,1893年に完成した。かつて8面13線を覆ったtrainshedは,National Historic Landmarkにも指定されたが,1984年に鉄道が地下化された後は,コンベンションセンターとして再利用されている。写真はMarket通西側からの景観だが,手前のMarriottが建設中であったため,建物側面やtrainshedの一部が見える。なおtrainshedの階下部分は,食料品を中心としたマーケットとして古くから通勤客に親しまれたが,駅の廃止後も引き続き営業され,Philadelphia中心部のtourist attractionになっている。(1993.5.14)

    Communipaw Station, Jersey City
    Reading鉄道の運行列車で最も有名なものは,Crusader号であろう。New Jerseyセントラル鉄道に入り,Jersey CityのCommunipaw駅までを運行し,そこからフェリーでLower Manhattanに連絡した。Communipaw駅はBaltimore and Ohio(B&O)鉄道のRoyal Blue号の終着駅でもあったが,河底トンネルを経てManhattanに直結するPennsylvania鉄道(PRR)→Penn Central鉄道の優位性は否めず,1967年に廃駅となる。Royal Blue号はB&Oの旅客廃止に伴い1958年に廃止されたが,Crusader号は行先をPRRのNewark駅(NWK)に変更して,1981年まで運行が継続された。Communipaw駅はNational Register of Historic Placesに指定され,Liberty State Parkの一部として保存されている。(1993.5.1)

    Jefferson Station (aka Market-East Station)

    Market-East Station, Nov. 1996
    かつて30th Street Stationを出た列車は,"Chinese Wall"(万里の長城)と呼ばれた高架線を経て,Pennsyのターミナル駅であったBroad Street Stationで終着となったが,郊外電車の増発に対処するため,1930年に5面8線の地下駅であるSuburban Stationが建設され,最終的には1952年にBroad Street Stationを置き換えることになった。一方,Reading鉄道の列車は3ブロック東のReading Terminalを発着したが,1970年代初頭のPenn Central - Reading両鉄道会社の倒産を経て,SEPTAの主導により両線を地下で接続するCenter City Commuter Connection計画が具体化し,1978年着工-1984年竣工の運びとなった。これに伴い,従来のReading Terminalの機能を引継ぐ目的で建設されたのが,2面4線のMarket-East Stationである。(1996.11.14)

    Plaque of
    Center City Commuter Connectionプロジェクトは,1985年のアメリカ土木学会(ASCE)の"Outstanding Civil Engineering Achievement"に選定されていて,それを記念する銘板が地下1階コンコースに設置されている。なお開業30年に当たる2014年に,当駅のネーミングライツがThomas Jefferson Univeristy Hospitalに売却された結果,当駅の呼称はJefferson Stationに変更されたが,第3代大統領(2ドル札の肖像)の名を冠した駅名は古都には相応しいかも知れない。(1993.4.27)

    U.S. Code Title 49

    日本の敬老乗車証の類が,自治体市民限定の制度であるのに対し,米国の制度は広く全高齢者(外国人を含む)を対象にしている。その根拠となるのが,合衆国法典49編(交通)の5307項であり,連邦政府から補助を受けている公共交通機関は,
     高齢者(65歳以上),Medicareカードを交付されている身体障碍者等,
    に対するオフピーク時間帯の運賃を,ピーク時間帯の普通運賃の50%以下に設定するよう義務付けている。注意すべきことは,多民族国家ゆえか,高齢者に関して国籍に基づく限定がないことである。

    実際の適用には多少のバラつきがある。例えばNew York MTAでは,地下鉄・一般バスに関しては終日半額運賃が適用されるが,通勤列車と急行バスについては,平日のピーク時間帯は除外されている。Chicago CTAでは,L(高架鉄道),バスともに基本的に半額だが,O'Hare空港発着の場合の普通運賃$5.00は,通常運賃の半額$1.10に据え置かれる。加えてイリノイ州民については,所得に応じて運賃が無料になるプログラム(Aging Benefit Access Program)も存在する。San Francisco MUNIの場合,現金運賃は半額($1.25/$2.50)だが,カード運賃ではそれ以上($1.00/$2.25)の割引となる。ただしケーブルカーに関しては,割引は21時~07時という,観光客が居そうもない時間帯にしか適用されない。

    かつては単なる旅行者でも,パスポート提示で割引を利用できたが,交通系ICカードの導入が進んだことにより,事前に割引用ICカードの交付が必要となる都市が増えてきている。ただ制度的には,ICカードは国外からネット申し込み可能な場合が多いため,旅行者が完全に排除される訳ではない。また現地に滞在して,交通機関を利用する場合には,外国人でも利用可能である。ただしChicagoのように無料になる制度の場合は,さすがに住民であることが要求されるが,その範囲はChicago市民に限定されず,イリノイ州民に拡大されている。Chicago MSAは,周辺自治体を含んで一体的に機能するので当然に思えるが,日本では東京都を除いて極めて偏狭な制度になっていて,これが公共交通の利用を阻害する側面もあると考えられる。

    30th Street Station (PHL)

    30th Street Station facing Market Street, Philadelphia
    Philadelphiaの中心駅である30th Street Station。1933年に現駅が完成するまでは,West Philadelphia Stationと呼ばれた小駅に過ぎず,長距離列車はSchuylkill川を渡った頭端駅であるBroad Street Stationに発着していた。写真左に,Market通に面した駅本屋の南側面が見えるが,車寄せを持ったメインエントランスは建物の東西に位置する。1955年に地下化されるまでは,地下鉄と路面電車は中央に見える電力会社(Peco)の建物の位置で地上に出て,Schuylkill川を複々線の橋梁で渡り,地下鉄(MFSE)は当駅前から高架に移行したため,南側面には軌道構造物が輻輳していた。

    Inside of 30th Street Station, Philadelphia
    1991年に修復作業が終わった直後の駅本屋内部。Amtrakでは3番目の乗降客数を誇る大駅であるが,Northeast Corridorに代表される長距離列車は,下層レベルの南北を短絡するプラットホームを発着する。通勤列車はSchuylkill川を渡ってCommuter Connection経由で旧Reading線に直通するため,東西方向の上層ホームに発着する。(1993.4.4)

    Trump Tower

    Trump Tower at Fifth Avenue, New York.
    Trump Towerのある5th Avenueは南行一方通行。56丁目の東北角に当たり,高層建築の多いNew Yorkではとりわけ目立つ高さでもないが,次期大統領選出にあたり,No Fly Zoneが設定された由。(2016.7.10)

    A view from I-House.
    Chestnut通に面するInternational Houseから,Trump氏の出身校,Pennsylvania大学を望む。南へ延びるのが37丁目で,当時Wharton Schoolの授業が専ら行われていたSteinberg-Dietrich Hallを↓で示す。Penn大も,Trump氏の人格形成には幾ばくかの責任があろう。(1977.8)

    旧6大都市の敬老乗車制度

    旧6大都市は何れも交通局を持ち,戦前から続く路面電車・バスを運営していたが,現在でもすべて地下鉄を含む軌道系交通を運営し,いわゆる「敬老乗車制度」と称する,高齢者等を対象とした運賃制度を有する点でも共通している。


    かつてはどこの都市でも乗車証は無料配布され,運賃は無料,利用回数の制限もなかったが,自治体の財政悪化に伴い,すべての都市で利用者負担が導入されている。しかしその方式にはかなりバラつきが見られ,利用時無料を維持するために交付時の負担が高額な都市と,交付時の負担は軽いが,利用の度に割引運賃を支払う都市,更には仙台市のように利用額に上限を設ける都市が混在していて,解りにくい制度になっている。(2016年10月現在)


    名称種別交付対象者標準交付
    価格[1]
    価格幅[2]利用交通機関利用時負担
    東京都シルバーパス磁気東京都に住民登録する70歳以上20,510円1,000円
    (住民税非課税)
    都営地下鉄・都電・都バス・舎人ライナー,八丈・三宅の町村営バス,都内の民営バス無料
    横浜市敬老特別乗車証磁気横浜市に住民登録する70歳以上8,000円20,500円~3,200円
    (所得に応じて7段階)
    地下鉄・市バス,シーサイドライン,市内の民営バス,川崎市バス(特定路線)無料
    名古屋市敬老パスIC card名古屋市内在住の65歳以上3,000円5,000円~1,000円
    (介護保険料に応じて3段階)
    地下鉄・市バス,ゆとりーとライン,あおなみ線無料
    京都市敬老乗車証磁気京都市内在住の70歳以上5,000円15,000円~3,000円(所得に応じて4段階)地下鉄・市バス,市バス撤退地域の民営バス[3]無料
    大阪市敬老優待乗車証IC card大阪市内在住の70歳以上3,000円地下鉄・市バス・ニュートラム1乗車50円[4]
    神戸市優待乗車証IC card神戸市内在住の70歳以上3,000円地下鉄・市バス,神戸新交通,市内民営バス小人料金[5]

    ※注
    [1] 年額を表示。所得等で差を設ける都市では,年所得150万~200万円に相当する標準的な価格を示す。
    [2] 殆どの都市では,障碍者や生活保護等の特定の条件により交付額を無料にする制度が設けられている。
    [3] 市バス撤退地域では,大原地区の京都バスと山科地区の京阪バス・醍醐コミュニティバスが利用可能。民営バスのみが運行する地域では,民営バス用の乗車証が,市バス・地下鉄証に加えて交付される。
    [4] 通常の地下鉄-バス,バス-バスの乗継割引が適用される区間では,2乗車でも50円となる。
    [5] 他に低所得者には,無料乗車券30,000円分が交付される。


    東京都の場合,利用圏は島嶼部を含む東京都全域と,他都市に比べて広域になっており,更に利用時負担が無いため,交付金額は20,510円と相当高額である。また民営バスに乗車できる点は優れているが,東京メトロが利用できないため,23区内での使い勝手は良いとは言えない。東京・横浜・神戸の3都市は,市域内の民営バスも利用できるが,その他の3市は市営交通(第3セクター運営のものを含む)にほぼ限定されている。関西の大阪・神戸は利用負担金があるため,交付金額は安く,かつ所得による格差が無い点に特徴がある。実際のところ,所得で格差を付ける場合,事務処理が煩雑化し,所得の捕捉も必ずしも公平ではないので,大阪・神戸型の制度が合理性を持つように思える。


    ただし全ての都市で,敬老乗車証の対象者を住民登録のある「市民」に限定していることには問題がある。たとえば長年市内のアパートに住んで住民税を払い続けていた人が,退職金で市外(郊外)に自宅を購入したとすれば,敬老乗車証の対象から外れる可能性が大きい。郊外の都市には市営交通が無く,敬老乗車証制度も存在しない場合が多いからである。公共交通は,誰でも差別なく乗れるから "common carrier"であり,敬老乗車証を差別運賃として見れば,公共交通の理念に反する印象を受ける。

    政令市・特別区の火葬料金

    縁起でもない話題で恐縮だが,地方自治体の施設利用料金において,非住民に過大な負担を求める傾向が強い火葬料金の格差について問題提起したい。同様な公営施設であっても公立病院の場合は,保険診療報酬が全国一律で定められているため,このように露骨な料金差別は発生しない。

    Cremation fees in Japanese major cities, 2016

    原則は,同一サービス・同一料金とすべきだが,公営施設では往々にして住民・非住民で差を付ける場合がある。経済学的には「二部料金制」と呼ばれ,電気・ガスの料金が,資本費に相当する基本料金と使用量に比例する従量料金の和となる等,固定費用の比重が高い産業で採用される制度と類似している。つまり住民は税金等で施設建設費を負担しているのに対し,非住民は負担していないのだから,住民からは燃料費等の可変費用のみを徴収し,非住民からは固定費用(建設費の減価償却分)を上乗せして徴収するという考え方で,一定の正当性はある。(料金は2016年9月現在)

    しかし住民料金が無料である市を除いて,住民と非住民の大人料金の比率は,東京都瑞江葬儀所の20%増から名古屋市の14倍まで,差額で見ると,瑞江の12,160円から堺市の8万円まで大きくバラついていて,二部料金制に言う固定費用に係る適正負担を逸脱する自治体が多いように見える。事実,非住民料金が東京都の民営斎場の料金を超える政令市は7市に及び,安くて良質なサービスを提供すべき公営施設のイメージからは離れている。

    昨今,どこの自治体も財源不足であることは解るが,だからと言って応益負担を超えるツケを非住民に回すことは不公正である。しかし非住民には当該自治体の政策決定に係る投票権は無く,行政への反発が出にくいので,安易に非住民へ負担を転嫁する誘因が働く。利用者側でも,何度も利用する施設ではないこと,競合施設が事実上存在しないことや,民営施設における「心づけ」と同様の理由で,理不尽だと思っても受け容れざるを得ないため,一種の「ひき逃げ戦略」が可能になる。

    この種の非住民への課税の例としては,京都市の「古都保存協力税」(1985.7~1988.3)が想起される。代表的な観光寺院等の拝観料に1回大人50円・小人30円を上乗せして徴収する法定外地方税であったが,拝観者の殆どは京都市外からの観光客であることを考えれば,応益負担の原則に反するとの批判があった。むろん文化財の補修や参道の整備は必要であり,それを京都市民のみが負担することには問題があるが,この税は文化財等に使途を限定した目的税として提案された訳ではなく,原則非課税である宗教法人への代替的課税の側面が強かった。そのため府下寺院の連合体である「京都仏教会」が主導した,拝観停止(お寺さんのストライキ)等の強硬手段の結果,3年足らずで廃止に追い込まれた。

    この場合は,徴税者(市)と特別徴収義務者(寺院等)は別主体であり,後者は宗教活動の自由への制約(端的には拝観者の減少)と言った立場から反対した。火葬需要は非弾力的であり,一定の独占力が行使できるため,価格設定の公正さに対する監視が必要である。しかし価格を監視すべき自治体が同時に設置者であること,新規参入が事実上不可能であることが,不公正な価格設定を可能にしている。

    自ら火葬施設を設置せず,一部事務組合にも加入していない,いわゆるフリーライダーに相当する自治体が存在することは事実である。例えば京都府南部には,京都市と宇治市の単独施設が存在するだけで,旧乙訓郡・綴喜郡・相楽郡に属する市町村住民はこの両市に加えて,四条畷市や奈良市等,隣接府県の施設を域外利用する。しかし非住民と雖も,何れかの施設設置自治体に居住している者が大勢であり,居住自治体において長年固定費用部分を負担していたはずである。にも拘らず,たまたま死亡時に他の自治体に居たという理由で,懲罰的な料金を負担させられるのは公正とは言えまい。

    例えば地方部の高齢者が住民票を残したまま大都市の病院に入院する,高齢の親を都市に住む子供が一時的に呼び寄せる等のことは,今日では一般的である。その期間中,不幸にして高齢者が亡くなった場合,最近の直葬の一般化もあって現地で荼毘に付すのも,ごく普通のことである。この場合,子供は自分が住民であるにも拘らず,高額な非住民料金を負担しなければならない。その意味で,川崎市がH.28年度から,市民の範囲を以下のように拡大したことは歓迎される。
    ・死亡時に介護保険法(平成9年法律第123号)第13条第1項に規定する住所地特例対象施設に入所または入居し、本市の介護保険被保険者であった方
    ・死亡時に障害者総合支援法(平成17年法律第123号)第19条第3項に規定する特定施設入所障害者であって、本市の介護給付費等の支給決定を受けていた方

    この規定は,元市民である被介護者が市外の施設で亡くなった場合のみを対象とするため,極めて狭い範囲の拡大に過ぎない。住民料金の適用範囲を,死亡者本人または火葬申請者の何れかが市民である場合にまで拡大することが望ましいが,その方向への第1歩として評価可能だろう。

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