FC2ブログ

Trolley.Net Blog

http://blog.trolley.net/

選択的夫婦別姓に関する新聞論調(2)

サイボウズの青野社長他3名が,日本人同士が結婚する際に夫婦別姓を選択できないのは憲法違反だとして,国家賠償を求めて提訴した裁判に対し,一審の東京地裁は3月25日に原告の訴えを棄却する判決を下した。今後は控訴審で争われることになる。

少子化は日本経済の持続性に対する最大の課題だが,夫婦別姓を認めることは予算不要の少子化対策になり得る。下図は”OECD Family Database"から,2016年の婚外出生比率を示す。よく言われることだが,日本はこの比率が異常に低く,OECD諸国の中では,韓国に次いで下から2番目の2.3%であり,OECDの平均値40.3%を大きく下回る。つまり日本人のメンタリティでは,子供を持つのは結婚が前提であるが,晩婚化に伴って,結婚前に獲得する職業上の実績は量的に拡大するため,改姓に伴う経済的・社会的損失との比較衡量により,結婚に踏み切れない場合がある。更には伝統的な「家」意識も存続しているため,一方の家名消滅を意味する同姓の強制は,伝統を重視する層にも大きな阻害要因となる。

Share of births outside of marriage (2016)

下の図はOECD諸国の人口1000人当たりの婚姻数の経年変化を示す。日本の成婚率は平均的なレベルにあると言えるが,その値は1970年の10.0から2016年の5.0に半減している。ただしこの数値は,高齢化によって結婚年齢に居る人口比率が低下した点を割り引いて見る必要がある。いずれにせよ成婚件数の減少は,日本では出生数の減少に直結することに注意が必要だろう。以下に東京地裁の判決を受けて出された,各社の新聞論調を引用するが,一様に司法の判断回避を批判している。

Crude marriage rate per 1000 people (2016)


社説:選択的夫婦別姓/実現願う声は広がっている
河北2019年4月7日

 夫婦別姓を選択できない戸籍法の規定は憲法の保障する法の下の平等に反するとして、ソフトウエア開発会社の社長らが損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は先日、原告の訴えを全面的に退けた。旧来の論法から一歩も踏み出そうとしない判断に、またしてもと失望を禁じ得ない。
 判決は夫婦同姓を定める民法の規定を合憲とした2015年の最高裁判決を踏襲。法律上の姓は一つであるべきで戸籍法が別姓を認めないことには合理性があるとした。
 原告らは戸籍上は妻の姓を選択し仕事では旧姓を使用するなどしていたが、銀行・証券口座やパスポートなどで煩雑な手間とともに、株式名義変更のコストなど経済的損失を被ったと主張。しかし、判決はこうした不利益への対処は立法の問題だとした。
 戸籍法の規定では、外国人と結婚する場合は同姓か別姓かを選ぶことができるが、日本人同士では別姓にできない。これを法の不備とする原告側の主張には、司法のあり方にも一石を投じたいという意図があったが、判決は法律論に終始した。
 15年の最高裁判決では、15人の判事のうち女性3人を含む5人が違憲の反対意見だった。1996年に法制審議会(法制審)が選択的夫婦別姓導入への民法改正を答申して20年余。法制審が同時に求めた婚姻年齢の男女差撤廃や嫡出・非嫡出による相続差別、女性の再婚禁止期間短縮は既に改正されている。
 国連女性差別撤廃委員会など内外から何度も是正を求められながら先送りを繰り返してきた国会と政府に判断を委ねられるだろうか。野党が提出した議案は店ざらしにされている。
 17年に実施された内閣府調査では、選択的夫婦別姓制度の導入に向けて民法を「改正してもかまわない」とする賛成意見が42.5%。改正の必要はないとする29.3%を大きく上回り、96年から5年ごとに実施している調査で最多となった。希望する人が別姓を選ぶための制度が、なぜ実現できないのだろうか。
 原告が主張する不利益は、現状では9割が夫の姓になる既婚女性のうち、旧姓を使用する人が日々体験している事象にほかならない。そうした不都合を嫌い、あるいはそもそも自身のアイデンティティーの一つである姓を失いたくないために、やむなく事実婚を選ぶカップルが、夫婦や家族としての安定した法的地位を得られない国のままでいいのだろうか。
 原告らによる選択的夫婦別姓制度導入に賛同を求める署名は5万人を超えた。原告側は最高裁まで争う方針で、同様の訴えは各地で起こされてもいる。地方議会で別姓法制化を求める意見書の可決や請願の動きもじわじわと広がっている。社会や意識の変化に、司法や国政が鈍感でいいはずがない。


社説:夫婦別姓 選択制の議論、本格化を
中国2019/3/28 08:41

 同じ姓でも別々の姓でも、夫婦が望めば自由に選べる社会にしたい―。そういう声が広がっているにもかかわらず、いとも簡単に退けた判断に大きな失望を覚える。
 ソフトウエア開発会社「サイボウズ」社長の青野慶久さんら4人が、夫婦別姓を選べない現在の戸籍法の規定は憲法に違反するとして訴えた裁判で、東京地裁は合憲とし、原告側の主張を全面的に退けた。
 原告側が問題視したのは、夫婦同姓を原則とする民法の違憲性ではなく、戸籍法の矛盾だ。
 戸籍法の規定では、外国人との結婚や日本人同士の離婚では同姓にするか別姓かを選ぶことができる。それなのに日本人同士が結婚した場合に別姓にできないのは「法の不備」であり、憲法がうたう「法の下の平等」に反すると訴えた。
 そして新たな規定を設け、希望すれば夫婦がそれぞれの姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」を実現できるよう求めた。
 これに対し、判決は「法律上の姓は一つ」とし、夫婦別姓を認めないことには「制度上、合理性がある」と結論づけた。別姓が認められないことによる不利益にどう対処するかは司法でなく立法の問題だとして請求を棄却した。
 青野さんは結婚で妻の姓に改姓したら思わぬ不便に苦労した。株式の名義変更に多額の費用がかかった。ビジネスでは旧姓を名乗っているが、公式書類には戸籍上の姓を使わなければならない。二つの姓を使い分けることがストレスやトラブルのもとになっている。
 判決からはしかし、そうした原告らの事情への配慮はまったくなかった。もっと踏み込んで言及すべきではなかったか。
 最高裁は2015年、夫婦同姓が日本社会に定着していることなどを理由に民法の規定を合憲とした。今回の判決は、これを追認しただけのように映る。
 ただ最高裁判決も一枚岩ではなかった。裁判官15人のうち、女性3人を含む5人が「違憲」の意見を付け、国会での議論を促した。
 にもかかわらず、3年余りたっても国会でこの問題と向き合うような動きは出ていない。問題を先送りしてきた政府の責任もまた重い。
 動きが鈍い背景には、自民党を中心に「家族の一体感を損ねる」などの反対意見が根強いことがある。
 だが、女性の社会進出が当たり前になり、姓の変更を強いられ、精神的にも物理的にも不利益を被っている人はたくさんいる。そうした現実から目をそらし続けていれば、立法の不作為と言われても仕方あるまい。
 内閣府が昨年公表した調査によると、選択的夫婦別姓制度のための法改正について「かまわない」と賛成した人は42.5%と、「必要ない」と反対した29.3%を上回った。5年前はどちらも30%台で拮抗(きっこう)していたが、全世代で容認派が増えた。
 法的な裏付けのない旧姓の通称使用も拡大している。多様な選択を尊重する考え方が広がっているのは間違いない。
 時代とともに変化する価値観としっかり向き合い、国会も司法も責務を果たさなければならない。選択的夫婦別姓制度について、国民を巻き込んだ本格的な議論を起こすべきだ。


社説:夫婦別姓判決/国会は選択制に道を開け
神戸2019/03/27

 多様化する実社会と司法の溝は広がるばかりではないか。
 戸籍法に夫婦別姓を認める規定がないのは憲法違反だと首都圏の男女4人が訴えた裁判で、東京地裁は合憲と判断、請求を棄却した。原告側は控訴する。
 判決は「法律上の姓は一つ」とし、戸籍法が別姓を認めないのには合理的な根拠があると結論づけた。最高裁は2015年、日本社会に定着しているなどの理由で夫婦同姓を原則とする民法の規定を「合憲」とする初判断を示している。
 固い司法の扉を押し開こうと、別の角度から挑んだのが今回の訴訟だ。戸籍法では、日本人が外国人と結婚する場合は別姓を選べるが、日本人同士では選べない。原告らは、この規定に着目し、法の下の平等を定めた憲法に反すると主張した。
 原告の一人、ソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長(47)は、結婚で妻の姓に改姓したが、仕事は旧姓で通している。場面に応じどちらの姓を使うか判断を迫られるストレス、株式名義の変更にかかる多額の費用など旧態依然の法制度が経済的損失を招いている-。ビジネスの最前線からの訴えは説得力があった。
 ところが、地裁判決は最高裁判断をなぞっただけで、不利益にどう対応するかは「国会の裁量に委ねられる」とした。価値観の多様化に向き合おうとしない司法への失望は大きい。
 内閣府が昨年2月に公表した調査で、希望すれば夫婦がそれぞれの姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」の法整備を容認する人が42.5%で、「必要ない」の29.3%を上回った。5年前の調査では、どちらも30%台でせめぎ合っていたが、全世代で容認派が増えた。結婚で姓を変える、変えないを選べる制度への理解は広がっている。
 法制審議会は1996年、選択的別姓を認める民法改正案を答申したが、法改正は棚上げされたままだ。夫婦同姓の強制は女性差別だとして国連からも再三、是正勧告を受けている。司法が動かないからといって国会の怠慢は許されない。
 国民の意識は柔軟で寛容だ。選択的夫婦別姓の法制化に向けた議論を本格化させ、立法府の責任を果たさねばならない。


(社説)夫婦別姓 政治を動かすために
朝日2019年3月27日05時00分

 木で鼻をくくる判決だ。
 夫婦は同じ姓を名乗ると定める戸籍法は、「個人の尊重」や「法の下の平等」をうたう憲法に反すると、ソフトウェア会社サイボウズの社長らが訴えた裁判で、東京地裁は原告側の主張をすべて退けた。
 判決は「民法と戸籍法は密接不可分」と述べたうえで、夫婦同姓を強制する民法を合憲とした15年の最高裁判決を踏襲。姓を変えることで不利益が生じるとしても、どう対処するかは裁判所でなく、国会が判断すべきことだと結論づけた。
 法律論に終始し、姓の変更を強いられる者の事情に思いを致さない判断というほかない。
 日本人が外国人と結婚した場合、戸籍の記載は同姓、別姓のどちらでも選べる。日本人同士だと認められない理由に、どれほどの説得力があるのか。
 また判決は、「個人が社会において使う法律上の姓は一つであることが予定されている」として、民法上の姓と戸籍の姓は同じでなければならないと繰り返す。近年、職場などで旧姓を使い続けることが進み、裁判所でも、公権力の発動そのものである判決を、旧姓で言い渡す裁判官が大勢いる。「法律上の姓は一つ」と力説することに、どんな意味があるのか。
 4年前の最高裁判決では、15裁判官のうち5人が民法の規定を違憲と断じた。その後も、今回のケースにとどまらず、改姓によって、自分が自分でなくなってしまうような痛みに耐えられない人々が、訴訟を相次いで起こしている。国際的にも例を見ない、同姓の強制に伴うきしみが噴き出しているのだ。
 だが、政権がこのテーマに向き合う気配はない。野党が提出した選択的夫婦別姓制度を導入する法案は店ざらしにして、代わりに進めるのが旧姓使用の拡大だ。それ自体は否定するものではないが、社説で何度も指摘してきたように、問題の根本的な解決にはなり得ない。
 世の中は確実に変化している。内閣府の12年の世論調査では、選択的夫婦別姓への賛否はほぼ拮抗していたが、17年には賛成が42.5%、反対29.3%だった。また、三重県議会は今月、制度の法制化を求める意見書を採択。同じ動きは他の市・区議会にもある。
 自分らしく生きたいと願う人がいて、多様な選択を尊重しようという考えは広がっているのに、国政には届かない。
 この先もそんな窮屈な社会を続けるのか。迫る統一地方選や参院選は、有権者としての考えを示す良い機会でもある。
スポンサーサイト

Acela Express

Tracks 18 and 19 at Washington Union Station.
合衆国における鉄道による都市間輸送の復権を目指して,Penn Central鉄道は1969年に,Northeast Corridor(北東回廊)のNew York, NY-Washington, DC間にMetrolinerと称する専用電車を投入した。しかし動力分散方式の長距離列車に対する経験不足ゆえか故障が相次ぎ,1980年代初頭までに電車は退役し,機関車牽引列車に置き換えられた。

更なるテコ入れを狙って,2000年12月にAcela Expressと称するTGVタイプの動力集中式電車が運転を開始したが,New Heaven, CT以北はその直前に電化され,Boston, MA-Washington, DC間で電車運転が可能になった。New York以南の古い電化区間は11kV, 25Hzという独特の交流電化であるが,New Heaven以北は東海道・山陽新幹線と同じ25kV, 60Hzが採用されている。3つの電化方式の混在も,Northeast Corridorのシームレスな運用の阻害要因ではある。

Washington Union Station (WAS)の18~20番線は,Acela用ホームとして使用されるようだが,写真では18番線に2003号,20番線に2031号をWashington方先頭車とする編成が停車中である。前後の動力車間には客車が6両連結されているが,1両がFirst Class,1両がCafe,残り4両はBusiness ClassとなっていてCoach Classの設定はない。なお客車は本家TGVとは異なり,通常のボギー車である。

Acela power cars nos. 2001, 2005, and 2030.
Acela Expressも登場後20年を経て,新車との交代が計画されている。次世代の編成も動力集中式だが,中間車両は連接タイプになるようだ。2019年後半には試運転が開始され,2021年の営業運転が予定されるため,写真のような3編成揃い踏みが見られるのも,そう長いことでは無さそうだ。Union駅に並ぶNew York方動力車は,手前から2001号,2005号,2030号と思われるが,Acela Expressの編成は規則性が無く複雑である。(2019.1.29)

令和

陳腐だが,真っ先にゼロサム(零和)ゲームを連想した人が多かっただろう。
アベノミクスでGDPのパイは大きくならず,分配の偏りが拡大しただけ,という時代背景を象徴するようだ。

国内総生産(支出側)の推移(暦年)
20002005201020112012201320142015201620172018
名目526.71524.13500.35491.41494.96503.17513.88531.32535.99545.12548.90
実質461.71489.62492.02491.45498.80508.78510.69516.93520.08530.11534.29
※単位は兆円,実質値は2011年度基準。


San Francisco International Airport (SFO)

Blue Line (counter-clockwise) AirTrain under a rainbow.
San Francisco空港のAirTrainは時計回りの環状運行(Red Line)と,反時計回りでRental Car Centerを発着するラケット型運行(Blue Line)の2系統で運行されている。BombardierのAPM 100システムが採用されているが,日本では山万に残るのみとなった中央案内方式のAGTは,アメリカの空港内交通では割合一般的である。Rental Car Center方から環状線に合流したBlue Lineが,虹の下をGarage Aへ向かう。(2019.2.14)

BART Station at San Francisco International Airport.
San Francisco空港への鉄道アクセスとして,BARTが2004年2月にDaly Cityから延長開業したが,その駅はGarage Gに設けられている。BARTのSan Francisco-Oakland間の沈埋トンネル区間は1973年11月に開業したが,これは1941年に廃止されたEast Bay Bridge経由のIER線を代替するものと言える。Antioch–SFO/Millbrae線の東端の延長区間は,e-BARTと称する標準軌になったこともあり,5'6"(馬車軌間より1'広い1676mm)ゲージという超広軌を採用するメリットは何だったのか?(2009.11.19)

Fordham University Law School

Fordham University Law School
先日,9th Ave. 60丁目の角に所用で行ったが,作業していた部屋の向かいが「有名な」フォーダム大学ロースクールだったので,1枚だけ撮影。このすぐ北側には,舞台芸術の殿堂として知られるLincoln Centerが立地している。(2019.1.26)

伊万里駅

Imari Station of Matsuura Railway
JR筑肥線とMR西九州線(旧国鉄松浦線)の2路線が乗り入れる伊万里駅。旅客数は松浦鉄道側が多く,2面3線のスイッチバック駅になっているが,JR側は単なる棒線駅である。当駅に来る筑肥線は非電化の閑散線区であり,福岡市地下鉄と相互乗入れを行う通勤路線とは,唐津線を介して間接的につながる。西九州線は当駅で系統分割されていて,当駅を跨ぐ列車は運転されない。写真は左が佐世保行MR-601号,右が有田行MR-617号の単行ワンマンカー。

Overbridge connecting two Imari Stations.
かつては当駅を経由して博多から松浦線への直通急行も運転されたが,2002年に軌道が分断され,直通運転は物理的に不可能になった。第3セクター化に伴い,JR線との渡り線が撤去される例は多いが,駅が完全に分離される例は余り聞かない。右側のJR駅舎と左側のMR駅舎の間は2階連絡通路で結ばれているが,両線とも地平駅のため,わざわざ2階へ昇る必然性は乏しい。(2018.12.24)

鉄道廃止による利用者の逸走

地方における鉄道路線の廃止が、公共交通の衰退をもたらすことは想像に難くない。近年の廃止路線について、廃止前後での利用者数の変化を、既存文献からまとめたものが表1である。廃止直後の代替バスの利用者数は、鉄道時代の概ね6割から4割に減少する場合が多いことが判る。さらに少子高齢化の影響もあり、路線代替後にも公共交通の衰退が進行し、代替バスも廃止の運命をたどる場合も珍しくない。JR気仙沼線は、震災前には柳津~気仙沼間を直通する列車は1日9.5往復であったが、同区間のBRTは15往復(2018年7月)と頻度は上がっているにも関わらず、平均通過人員は33%に低下している。これは少子高齢化以上に被災地の人口流出が進んだ結果を反映している。

廃止代替バスへの転換率

地方鉄道路線の運営は経常収支だけで赤字の場合が多く、新たな資本支出には耐えられない傾向が強い。一方で地球温暖化も相まって、自然災害の発生が頻繁かつ激甚化しており、一度被災すると復旧費用が捻出できないため、廃止に至る状況が続いている。表2に近年の災害を理由として既に廃止された、廃止が検討された、或いは廃止に向けて協議中の路線を示す。従来の鉄道軌道整備法では、黒字の鉄道事業者は災害復旧補助金の対象外とされていたため、東日本大震災の被災区間のうち三陸鉄道の譲渡が決まった山田線区間のみが鉄道で復旧される結果になった。2018年6月の改正では、黒字の鉄道事業者であっても赤字路線については補助の対象に加えられ、従来に比べて鉄道での復旧が容易になることが期待される。

自然災害による廃止検討路線

Caravan reached Tijuana, BCN, Mexico

Tijuana, MX from San Ysidro, CA
10月中旬にHondurasをスタートした移民行進"Caravan"は,途中で合流した人を含めて1万人とも伝えられるが,11月18日に約3千人がアメリカ国境の町Baja California州Tijuanaに到達した。写真はアメリカCalifornia州San Ysidroから,メキシコ側のTijuanaの町を,自動車検問所越しに見たもの。(2014.2.21)

報道によれば,Trump大統領は10月22日,「Guatemala, Honduras, El Salvadorは移民集団の出国と米国への不法入国を阻止することができなかったこと」を理由に,これら3ヶ国へのODAを「停止または大幅に削減する」旨,Twitterに投稿した由である。しかし移民(経済難民)が発生する要因は,所得格差(貧困)や治安悪化であり,これまでのODAが発生国の状況改善には不十分であったことを示唆する。

居住地選択が所得格差と正の相関を持つことは周知の事実であり,ODAの意義は「情けは人のためならず」の実践にある。すなわち自国の購買力の一部を低所得国に移転することで,その国から移民発生を抑制することが期待でき,結果的に自国の経済的安定の維持につながるからである。現状で困窮している被援助国の資金繰りを更に悪化させることで,移民発生を抑制できるはずはない。

どこの国でも専門知識を持つ高学歴者(医師や研究者等)は歓迎される傾向だが,低技能の移民は自国民の雇用維持という観点から歓迎されない(学歴と技能は一致しないが,ここでは敢て区別しない)。しかし特に経済難民については,現実は異なる。Trump大統領の「Caravanには大勢の犯罪者や中東のテロリストが混ざっている」という主張は根拠に乏しいが,アメリカに関する限り,中南米からの移民がアジアやアフリカからの移民に比べて平均的な教育水準が低いことは,統計上確認できる。

下表は"Database on Immigrants in OECD Countries (DIOC) 2010/11”による,アメリカへの移民の出身地域別学歴別人数である。因みに出身地域は出生国によるが,日本の国勢調査には出生国や滞在期間のデータが含まれず,国籍による分類しかない。このため日本で生まれた在日3世や4世も,日本国籍を取得しない限り移民扱いになるという統計上の不備が指摘される。しかし完全な出生国主義を採る場合にも,例えば両親の海外赴任中に生まれた子供は自国国籍を持っていても形式上移民になる等,移民を正確に定義することは難しい。

出身地域中卒以下高卒・専門学校大卒・院卒大卒以上の率
Africa330,120585,923669,34642.2%
Asia2,475,5423,448,7515,613,97148.7%
Latin America11,306,9458,356,4623,217,26814.1%

ななつ星in九州

DF200-7000
JR線の定期夜行列車は絶滅に近いが,クルーズトレインとしては2013年10月に運行を開始した「ななつ星in九州」が先鞭を付けた。追随したJR東日本や西日本のクルーズトレインが動力分散方式であるのに対して,JR九州は集中方式で,特別仕様のDF200形ディーゼル機関車が牽引する。写真は2018年秋運行を控えて,長崎鉄道事業部佐世保車両センター(崎サキ;かつての門ハイ)で整備中の同列車だが,本来の所属は分オイである。2番線には国鉄色復原塗装の大村線区間快速キハ67-1が見える。

マイネフ77-7007
編成は博多方の先頭が1号車(マイ77-7001),最後尾が7号車(マイネフ77-7007)となっている。しかし例えば博多~小倉間または肥薩線に,豊肥線・久大線・おれんじ鉄道線の何れかを組合せると,博多駅発着時の編成が逆向きになる。かつて特急が1号車先頭であった時代には,博多駅に到着した「かもめ」は,香椎線→旅石支線→勝田線を利用して方向転換を行ったが,勝田線亡き後,博多に最も近い方転ルートは,博多→小倉→大分→久留米→博多という大回りになった。実際にこのルートを毎週回送していた時期もあるが,現在は方向転換が生じないルートで運転されている。(2018.9.29)

LCCや夜行バスの発達で,長距離列車は過去のものであるように見える。しかし観光需要は,景気や政治情勢に左右され不安定であるから,それへの過度な依存は危険であり,ビジネス旅客に支持されるような輸送サービスの提供が本質的であることには変わりがない。

単独行動主義(卓袱台返し)

Donald J. Trumpが大統領に就任して以来,「米国第一主義」の名の下に,既存の合意からの一方的な離脱を宣言する等,これまでの外交的レガシーを無視する行為を繰り返し,国際情勢を不安定化させている。物事は均衡で動いているので,長期的な国益と目先の利益が相反することがママあるが,その辺の思慮が不足した指導者の誹りを免れない。たとえば,国際的には以下のような事象が挙げられる。

(1) 就任早々に,環太平洋パートナーシップ協定(TPP)(2016年2月)からの離脱を宣言。同協定には18年3月に米国を除く11ヶ国が署名したが,協定案自体,著作権法など米国の主張を大幅に取り入れたもの。
(2) 同時に北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に入ることを宣言。2018年9月にUSMCAとして合意に達する。
(3) 2017年6月に,196ヶ国で合意した地球温暖化対策の国際枠組み,いわゆる「パリ協定」(2015年12月)から離脱。2016年11月時点で,批准国(団体)は110に達して発効。
(4) 2018年1月のセーフガード,3月の通商拡大法232条による鉄鋼・アルミニウムへの追加関税措置に対抗して,4月に中国が128品目に報復関税を発動して米中貿易摩擦が激化。以後3次に渡り,対象品目が拡大される。
(5) イランの核開発施設縮小や条件付き軍事施設査察などの履行を含む最終合意に基づき,米英仏独中露6か国協議(P5プラス1)は2016年1月にイランに対する経済制裁を解除したが,18年5月合意離脱を宣言(残り5ヶ国は合意維持)。
(6) 2018年5月に在イスラエル米国大使館をエルサレムに移転。エルサレムはイスラム・ユダヤ・キリスト教の聖地であり,潜在的に首都と認めつつも,直接的なコミットを避けることで維持されて来た宗教間の均衡を破ることになる。
(7) 1987年12月に米国とソビエト連邦の間で結ばれた,中距離核戦力全廃条約(INF)の破棄を一方的に宣言(2018年10月)。軍拡競争の再現が懸念される。

条約の批准には議会の承認が必要であるが,(7)は明確に条約であり,議会の承認なしに破棄することが法的に正しいのか疑問に感じられる。多くの点で「アメリカに不利(有利)」であることを理由とするが,明確なエビデンス無しに,思い込みで政策決定をしているようにしか見えない。国内的にもオバマケアの破棄など,問題は多々あるが,反知性主義的な政策運営は日本も他山の石とせねばなるまい。

FC2Ad