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ゴクラクチョウカ

Strelitzia Reginae
南アフリカ原産とされる,ショウガ目・ゴクラクチョウカ科に属するゴクラクチョウカ(極楽鳥花)。南カリフォルニアでも多く栽培されていて,ロサンゼルスの市花にも指定されている。確かに花は鳥の頭部によく似ているが,本物の「極楽鳥」(フウチョウ)と比較すると,黄色い部分は頭部というより尾羽だろう。極楽鳥に関する写真や動画: "Birds of Paradise Project"と比較されたい。(2014.2.19; San Diego, CA)
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U.S. Code Title 49

日本の敬老乗車証の類が,自治体市民限定の制度であるのに対し,米国の制度は広く全高齢者(外国人を含む)を対象にしている。その根拠となるのが,合衆国法典49編(交通)の5307項であり,連邦政府から補助を受けている公共交通機関は,
 高齢者(65歳以上),Medicareカードを交付されている身体障碍者等,
に対するオフピーク時間帯の運賃を,ピーク時間帯の普通運賃の50%以下に設定するよう義務付けている。注意すべきことは,多民族国家ゆえか,高齢者に関して国籍に基づく限定がないことである。

実際の適用には多少のバラつきがある。例えばNew York MTAでは,地下鉄・一般バスに関しては終日半額運賃が適用されるが,通勤列車と急行バスについては,平日のピーク時間帯は除外されている。Chicago CTAでは,L(高架鉄道),バスともに基本的に半額だが,O'Hare空港発着の場合の普通運賃$5.00は,通常運賃の半額$1.10に据え置かれる。加えてイリノイ州民については,所得に応じて運賃が無料になるプログラム(Aging Benefit Access Program)も存在する。San Francisco MUNIの場合,現金運賃は半額($1.25/$2.50)だが,カード運賃ではそれ以上($1.00/$2.25)の割引となる。ただしケーブルカーに関しては,割引は21時~07時という,観光客が居そうもない時間帯にしか適用されない。

かつては単なる旅行者でも,パスポート提示で割引を利用できたが,交通系ICカードの導入が進んだことにより,事前に割引用ICカードの交付が必要となる都市が増えてきている。ただ制度的には,ICカードは国外からネット申し込み可能な場合が多いため,旅行者が完全に排除される訳ではない。また現地に滞在して,交通機関を利用する場合には,外国人でも利用可能である。ただしChicagoのように無料になる制度の場合は,さすがに住民であることが要求されるが,その範囲はChicago市民に限定されず,イリノイ州民に拡大されている。Chicago MSAは,周辺自治体を含んで一体的に機能するので当然に思えるが,日本では東京都を除いて極めて偏狭な制度になっていて,これが公共交通の利用を阻害する側面もあると考えられる。

旧6大都市の敬老乗車制度

旧6大都市は何れも交通局を持ち,戦前から続く路面電車・バスを運営していたが,現在でもすべて地下鉄を含む軌道系交通を運営し,いわゆる「敬老乗車制度」と称する,高齢者等を対象とした運賃制度を有する点でも共通している。


かつてはどこの都市でも乗車証は無料配布され,運賃は無料,利用回数の制限もなかったが,自治体の財政悪化に伴い,すべての都市で利用者負担が導入されている。しかしその方式にはかなりバラつきが見られ,利用時無料を維持するために交付時の負担が高額な都市と,交付時の負担は軽いが,利用の度に割引運賃を支払う都市,更には仙台市のように利用額に上限を設ける都市が混在していて,解りにくい制度になっている。(2016年10月現在)


名称種別交付対象者標準交付
価格[1]
価格幅[2]利用交通機関利用時負担
東京都シルバーパス磁気東京都に住民登録する70歳以上20,510円1,000円
(住民税非課税)
都営地下鉄・都電・都バス・舎人ライナー,八丈・三宅の町村営バス,都内の民営バス無料
横浜市敬老特別乗車証磁気横浜市に住民登録する70歳以上8,000円20,500円~3,200円
(所得に応じて7段階)
地下鉄・市バス,シーサイドライン,市内の民営バス,川崎市バス(特定路線)無料
名古屋市敬老パスIC card名古屋市内在住の65歳以上3,000円5,000円~1,000円
(介護保険料に応じて3段階)
地下鉄・市バス,ゆとりーとライン,あおなみ線無料
京都市敬老乗車証磁気京都市内在住の70歳以上5,000円15,000円~3,000円(所得に応じて4段階)地下鉄・市バス,市バス撤退地域の民営バス[3]無料
大阪市敬老優待乗車証IC card大阪市内在住の70歳以上3,000円地下鉄・市バス・ニュートラム1乗車50円[4]
神戸市優待乗車証IC card神戸市内在住の70歳以上3,000円地下鉄・市バス,神戸新交通,市内民営バス小人料金[5]

※注
[1] 年額を表示。所得等で差を設ける都市では,年所得150万~200万円に相当する標準的な価格を示す。
[2] 殆どの都市では,障碍者や生活保護等の特定の条件により交付額を無料にする制度が設けられている。
[3] 市バス撤退地域では,大原地区の京都バスと山科地区の京阪バス・醍醐コミュニティバスが利用可能。民営バスのみが運行する地域では,民営バス用の乗車証が,市バス・地下鉄証に加えて交付される。
[4] 通常の地下鉄-バス,バス-バスの乗継割引が適用される区間では,2乗車でも50円となる。
[5] 他に低所得者には,無料乗車券30,000円分が交付される。


東京都の場合,利用圏は島嶼部を含む東京都全域と,他都市に比べて広域になっており,更に利用時負担が無いため,交付金額は20,510円と相当高額である。また民営バスに乗車できる点は優れているが,東京メトロが利用できないため,23区内での使い勝手は良いとは言えない。東京・横浜・神戸の3都市は,市域内の民営バスも利用できるが,その他の3市は市営交通(第3セクター運営のものを含む)にほぼ限定されている。関西の大阪・神戸は利用負担金があるため,交付金額は安く,かつ所得による格差が無い点に特徴がある。実際のところ,所得で格差を付ける場合,事務処理が煩雑化し,所得の捕捉も必ずしも公平ではないので,大阪・神戸型の制度が合理性を持つように思える。


ただし全ての都市で,敬老乗車証の対象者を住民登録のある「市民」に限定していることには問題がある。たとえば長年市内のアパートに住んで住民税を払い続けていた人が,退職金で市外(郊外)に自宅を購入したとすれば,敬老乗車証の対象から外れる可能性が大きい。郊外の都市には市営交通が無く,敬老乗車証制度も存在しない場合が多いからである。公共交通は,誰でも差別なく乗れるから "common carrier"であり,敬老乗車証を差別運賃として見れば,公共交通の理念に反する印象を受ける。

政令市・特別区の火葬料金

縁起でもない話題で恐縮だが,地方自治体の施設利用料金において,非住民に過大な負担を求める傾向が強い火葬料金の格差について問題提起したい。同様な公営施設であっても公立病院の場合は,保険診療報酬が全国一律で定められているため,このように露骨な料金差別は発生しない。

Cremation fees in Japanese major cities, 2016

原則は,同一サービス・同一料金とすべきだが,公営施設では往々にして住民・非住民で差を付ける場合がある。経済学的には「二部料金制」と呼ばれ,電気・ガスの料金が,資本費に相当する基本料金と使用量に比例する従量料金の和となる等,固定費用の比重が高い産業で採用される制度と類似している。つまり住民は税金等で施設建設費を負担しているのに対し,非住民は負担していないのだから,住民からは燃料費等の可変費用のみを徴収し,非住民からは固定費用(建設費の減価償却分)を上乗せして徴収するという考え方で,一定の合理性はある。(料金は2016年9月現在)

しかし住民料金が無料である市を除いて,住民と非住民の大人料金の比率は,東京都瑞江葬儀所の20%増から名古屋市の14倍まで,差額で見ると,瑞江の12,160円から堺市の8万円まで大きくバラついていて,二部料金制に言う固定費用に係る適正負担を逸脱する自治体が多いように見える。事実,非住民料金が東京都の民営斎場の料金を超える政令市は7市に及び,安くて良質なサービスを提供すべき公営施設のイメージからは離れている。

昨今,どこの自治体も財源不足であることは解るが,だからと言って応益負担を超えるツケを非住民に回すことは不公正である。しかし非住民には当該自治体の政策決定に係る投票権は無く,行政への反発が出にくいので,安易に非住民へ負担を転嫁する誘因が働く。利用者側でも,何度も利用する施設ではないこと,競合施設が事実上存在しないことや,民営施設における「心づけ」と同様の理由で,理不尽だと思っても受け容れざるを得ないため,一種の「ひき逃げ戦略」が可能になる。

この種の非住民への課税の例としては,京都市の「古都保存協力税」(1985.7~1988.3)が想起される。代表的な観光寺院等の拝観料に1回大人50円・小人30円を上乗せして徴収する法定外地方税であったが,拝観者の殆どは京都市外からの観光客であることを考えれば,応益負担の原則に反するとの批判があった。むろん文化財の補修や参道の整備は必要であり,それを京都市民のみが負担することには問題があるが,この税は文化財等に使途を限定した目的税として提案された訳ではなく,原則非課税である宗教法人への代替的課税の側面が強かった。そのため府下寺院の連合体である「京都仏教会」が主導した,拝観停止(お寺さんのストライキ)等の強硬手段の結果,3年足らずで廃止に追い込まれた。

この場合は,徴税者(市)と特別徴収義務者(寺院等)は別主体であり,後者は宗教活動の自由への制約(端的には拝観者の減少)と言った立場から反対した。火葬需要は非弾力的であり,一定の独占力が行使できるため,価格設定の公正さに対する監視が必要である。しかし価格を監視すべき自治体が同時に設置者であること,新規参入が事実上不可能であることが,不公正な価格設定を可能にしている。

自ら火葬施設を設置せず,一部事務組合にも加入していない,いわゆるフリーライダーに相当する自治体が存在することは事実である。例えば京都府南部には,京都市と宇治市の単独施設が存在するだけで,旧乙訓郡・綴喜郡・相楽郡に属する市町村住民はこの両市に加えて,四条畷市や奈良市等,隣接府県の施設を域外利用する。しかし非住民と雖も,何れかの施設設置自治体に居住している者が大勢であり,居住自治体において長年固定費用部分を負担していたはずである。にも拘らず,たまたま死亡時に他の自治体に居たという理由で,懲罰的な料金を負担させられるのは公正とは言えまい。

例えば地方部の高齢者が住民票を残したまま大都市の病院に入院する,高齢の親を都市に住む子供が一時的に呼び寄せる等のことは,今日では一般的である。その期間中,不幸にして高齢者が亡くなった場合,最近の直葬の一般化もあって現地で荼毘に付すのも,ごく普通のことである。この場合,子供は自分が住民であるにも拘らず,高額な非住民料金を負担しなければならない。その意味で,川崎市がH.28年度から,市民の範囲を以下のように拡大したことは歓迎される。
・死亡時に介護保険法(平成9年法律第123号)第13条第1項に規定する住所地特例対象施設に入所または入居し、本市の介護保険被保険者であった方
・死亡時に障害者総合支援法(平成17年法律第123号)第19条第3項に規定する特定施設入所障害者であって、本市の介護給付費等の支給決定を受けていた方

この規定は,元市民である被介護者が市外の施設で亡くなった場合のみを対象とするため,極めて狭い範囲の拡大に過ぎない。住民料金の適用範囲を,死亡者本人または火葬申請者の何れかが市民である場合にまで拡大することが望ましいが,その方向への第1歩として評価可能だろう。

2016丙申年

Mt. Fuji
長野県上空から見た元旦の富士山,その向こうに伊豆半島も見える。1月というのに殆ど冠雪が無い状態で穏やかな正月だったが,月半ばを過ぎて北日本は2014年2月を彷彿とさせる大雪に見舞われている。地球温暖化が気象現象の激甚化(降る時は豪雨や暴風雪)をもたらしているという印象が拭えない。

2015年は内閣の暴走が目立ったが,今年も参議院選挙を目指してバラマキや争点隠しが懸念される。財政政策の限界が見えたからと言って,金融政策への過度な期待には無理があり,GPIFによるPKO(価格維持作戦)にも綻びが見えてきた。日本経済の終わりの始まりの年にならぬことを祈るのみである。

通勤手当非課税枠

2016年度税制改正大綱で「地方創生のため」通勤手当の非課税限度額を月10万円から15万円に引き上げる政策が決まった。新幹線で200km先から通えれば,2-3世代同居が可能になり,介護離職が減り,地方の人口減の逆転にも通じるという説明がされているが,都市・産業政策としては疑問符が付く。

地方に人口が定着できない最大の原因は,特に管理的・専門的職業従事者に対して,地方に相応しい雇用を確保できないことにある。通勤手当の非課税限度額拡大は,大都市圏の雇用を前提として,その通勤圏を広げる政策であり,結果的に大都市圏(特に東京圏)への雇用集中を促進する政策であると言える。そもそも200kmに及ぶ遠距離通勤は,資源配分(エネルギー効率)の観点から見ても望ましいとは言い難い。

政府関係機関の地方移転についても,提案されているものは外局や研究機関等に限られ,本省の移転は含まれない。そもそも本省は,国会質問で呼ばれた時に直ちに駆けつける必要があるため,国会周辺の立地が当然視されるが,ICT技術の発展によりテレビ答弁でも対応は可能である。同様に会期中に外遊できないことを理由に,臨時国会を開かない「逆転の論理」も時代と共に見直す必要がある。

昨今,公務員給与の見直しにより,基本給を下げて地域手当を上げる策が採られている。その分,東京都区部在勤者の地域手当は平成18年度の12%から現状18%となっていて,「霞ヶ関官僚」は「減俸処分」に会わない仕組みになっている。さらに本来は生活費の差を理由とする地域手当だが,地方圏へ転勤した場合に3年間は従前の給与水準を保障する「広域異動手当」があるため,ほぼ3年周期で東京と地方との勤務を繰り返す中央官僚は,最大18%に及ぶ「減俸処分」を永遠に避け続けられる仕組みになっている。

このような給与構造を前提にするなら,3年以上の地方勤務(=待遇の不利益変更)が確実になる本格的な省庁移転が,官僚の作成する移転候補に上らないことは当然だろう。

国会図書館デジタルコレクション

従来,親ページのための行政資料調査には,市役所西庁舎の「情報公開コーナー」を利用していたが,平日昼間しか閲覧できないため,遠隔地からの利用は極めて困難だった。

デジタル化の恩恵で,一部資料については国会図書館のデジタルコレクションに「図書館送信限定」で収録されたため,国会図書館と協定のある地元の公立・大学図書館まで出向けば閲覧が可能になった。

便利になったとは言え,上記資料についてはデジタル化の範囲が1958年度版までに限られているので,著作権は2009年末で切れたはずだし,そもそも行政文書は著作権法上公開が原則なので,なぜ「一般公開」でなく「図書館送信限定」なのか,理解に苦しむところだ。

Ebola is Real



2014年西アフリカにおける流行は3月下旬のギニアから顕在化したが,10/17時点ではリベリアが最大の感染国になっていて,感染者の47.5%,死亡者の55.9%を占める。最新の情報については以下を確認されたい。
  • WHO/OMS (世界保健機関)
  • CDC (アメリカ疾病対策センター)

    「エボラは現実」は,現地で広まる「エボラは欧米の陰謀」と言った風説に対抗するキャンペーンである。医療関係者や隔離施設に対する襲撃が状況を悪化させることは明らかだが,初等教育の普及率の低さが問題を深刻化させる。以下はリベリアの代表的地元紙だが,Daily Observerは時々この手の「とんでも説」を紹介する。
  • The Inquirer
  • The Heritage
  • Daily Obeserver

    なお3大流行国と感染抑込みに成功したナイジェリアについて,2012年時点の初等教育修了率,1人あたりGNI (2005年米ドルによる購買力平価)を比較すると,下表のようである。(世銀データ)

    GuineaLiberiaSierra LeoneNigeria
    初等教育修了率61%65%(2011)72%76%(2010)
    1人あたりGNI$970$580$1,340$2,450

    国連の「絶対的貧困」は1日$1.25以下で暮らす人を指すが,これは年所得では$456に相当する。リベリアの1人あたり国民所得はそれより27%高いだけであり,隣国のシエラレオネの半分以下である。リベリアの1人当たりGDP(名目ドル)は,第1次内戦の直前,1988年の$478が最大で,今だにそのレベルを回復していない。

    「エボラは現実」をアピールするキャンペーンソングは"hipco"と呼ばれるリベリア・ヒップホップの形式で,UNICEF・保健社会福祉省と地元FM局との合同プロジェクトにより制作された。(体液を唾液から精液まで例示したり,死体に触るなとか,歌詞は率直かつ教育的。)
  • 地図情報と秘密保護

    安倍内閣は国民の大多数が熟議を求める中,「特定秘密の保護に関する法律」(以下「秘密保護法」)を2013年12月6日に強引に成立させた。内閣は一般国民に累は及ばないよう厳格に運用すると言っているが,法律は常に拡大解釈されるものであるから,こと言論や個人の思想信条に関する事項には,明確に制約を設けておくべきである。

    たとえば1999年の「国旗及び国歌に関する法律」の場合も,時の首相,小渕恵三は,「政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません。」と答弁したが,現実には学校現場における教員の不起立や,果ては口パクまでが処分の対象となる状況で,為政者の意を体した運用が際限なく拡大する。

    自民党を含む与党は両院の絶対多数を維持しているが,その選出過程が各地の裁判所から違憲または違憲状態にあると判断されているため,議会自体の正統性には疑問符が付く。裁判所から要求されている公職選挙法の区割り規定改正には全く動かず,多くが緊急性を感じていない秘密保護法は拙速に通すという態度は,強く批判されて然るべきだろう。

    ところで下の2枚は,KDDI八俣送信所付近(茨城県古河市)を示す国土地理院の地形図を比較したものである。左が旧1:25000地形図であり,右が現行のデジタル基本図であるが,左の地図にある送信アンテナの記載が右の地図では消えていることがわかる。短波送信所は戦略的に重要かも知れぬが,衛星画像等により細部まで判る現在では,消したところで意味はない。

    1:25000 map of KDDI Yamata. Digital map of KDDI Yamata

    戦前の陸地測量部の地形図では,皇室関係の用地は空白にされた。しかし明治時代には,その範囲は皇居吹上地区の御所周辺のみと限定的だったが,大正時代には吹上地区全体,昭和戦前には都内各所の宮家の邸宅まで空白にされ,さらには淀橋浄水場(現在の新宿副都心)は畑地に偽装される等,地図情報の秘匿が横行した。

    その時代にも,米軍航空機による航空写真測量が行われていたため,秘匿には戦略上の意味はなく,専ら国民向けであった可能性がある。隠しても意味のないことでも秘密に指定すれば,国民を罪に陥れるには十分だから,政府に対する監視を怠ってはなるまい。

    ビッグデータと1984

    NSA tapping
    Edward J. Snowden氏によるNSA(National Security Agency)による個人通信データ収集の暴露が問題になっているが,George Orwellの"1984"ならずとも,公権力による情報蓄積には危うさを感じる。たとえば民主的な政権であっても,政権交代の結果,独裁政権が誕生しない保証はない。

    紙ベースのデータだと,保管コストの関係で行政文書は5年で廃棄されるのが一般的であったが,電子データの場合,記憶媒体のコスト低下に伴って,事実上無期限の保管が可能となるため,公権力による情報蓄積に歯止めを掛ける必要がある。

    たとえば図書館の貸出し記録は,本来は対象となる本が返却されれば不要となるはずだが,小学校からの貸出し記録が「マイナンバー」(国民共通番号)によって名寄せされて保存されれば,個人の思想調査が容易に行える。

    この種の情報蓄積は民間でも進んでいて,インターネット通販やクレジットカードの利用記録から,個人のプロファイリングがかなりの程度可能であるが,この情報が公的に蓄積された情報と結合されることに強い懸念を感じる。今回のNSA問題は,このような懸念が現実のものであることを示した。

    昨今「ビッグデータ研究」がもて囃されるが,技術面が先行し,負の側面に関する議論が置き去りにされている印象がある。しかし適切な管理・運用ルール無しには,ビッグデータは両刃の剣とも成り得る。

    たとえば遺伝子情報の蓄積により,特定のがんの危険因子が明らかになることは,病気を予防する上で望ましいが,保険会社にはこのデータをリスク細分型生命・医療保険に利用する誘因が働く。結果的に,個人の責任に帰さない遺伝子型による加入者の選別が生じる可能性があるが,そのような行為は社会正義上許されまい。

    マイナンバー制度の発足までに,公的機関による個人情報の保存期間と,適切な廃棄方法に関する議論を盛り上げる必要がある。(画像はAmerican Eagleがケーブルを掴んで盗聴しているというEFFのパロディ)

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