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選択制夫婦別姓に関する新聞論調

1月9日にサイボウズの青野社長他3名が,日本人同士が結婚する際に夫婦別姓を選択できないのは憲法違反だとして,国家賠償を求めて東京地裁に提訴した。2015年12月の最高裁判決では,民法750条の同姓規定は合憲とされたが,今回は戸籍法における日本人と外国人の扱いの違いが争われる。「法の下の平等」という見地からは,同じ日本人が結婚相手によって戸籍上の姓の選択の可否が異なる点が問題とされているが,すべての日本人に同じ規定が適用されるという意味では,筋が弱い印象を受ける。ただし精神的な喪失感に留まらない,実質的な経済的損害が発生している訳で,その点について裁判所がどう判断するかだ。

この問題に関しては立法の不作為が指摘されており,1月10日以降,各新聞社が一斉に社説で取り上げた。1月16日の朝日まで,Web上で検索された各社の論調を比較のために再掲するが,一様に夫婦別姓に肯定的だと読める。


社説:夫婦別姓 改めて議論を起こそう
朝日2018年1月16日05時00分

 夫婦に同じ姓を名乗るよう強いる制度は憲法に違反する。そんな訴えが新たに起こされた。これまであまり言及されなかった視点からの批判も加わり、同姓を義務づけるおかしさが改めて浮かびあがっている。
 原告の一人は、結婚して妻の姓を名乗ることになった男性の実業家だ。様々な名義の変更など改姓によって生じる手間や不利益、そして「自分らしさ」を失うような感覚は、女性だけの問題ではない。この当たり前の事実を社会に突きつけた。
 注目されるのは、原告らが、外国籍の人と結婚した場合との違いを指摘している点だ。
 外国人は戸籍がないため夫婦は別姓になるのが基本だが、希望すれば同じ姓を名乗る手続きも用意されている。だが日本人同士の夫婦には同姓の道しかない。これは法律の不備で、法の下の平等などを定めた憲法に反すると主張している。
 別姓に反対する人々はよく、姓が違うと家族の崩壊を招くと言う。この論法でいけば、年2万組以上生まれる国際結婚の家庭は、相当数が「崩壊」することになる。いかに荒唐無稽な言い分か明らかではないか。
 提訴と前後して、弁護士から最高裁判事に就任した宮崎裕子さんが、今後も旧姓を使い続ける考えを明らかにしたことも関心を集めた。昨年から判決文や起訴状などへの記載が認められるようになったのを受けたものだ。旧姓使用の拡大は「女性活躍」をうたう政府の方針で、各省庁でも取り組みが進む。
 それ自体に異論はないが、考えれば奇妙な話である。
 被告に死刑を言い渡すこともある判決。国民のくらしや企業活動に重大な影響を与える政策決定に関する文書。これらが通称という「仮の姓」で書かれ、一方「正式な姓」は戸籍の上にのみ存在し、場合によっては社会でほとんど使われない。
 こんなに分かりにくく、権力行使の正当性が疑われかねないことまでして、なぜ現行制度の維持にこだわるのか。同姓か別姓かの選択によって生じるメリット・デメリットは、当の夫婦が責任をもって引き受ける。それで何の不都合があるのか。
 最高裁は約2年前、いまの民法を合憲と判断したが、選択的夫婦別姓制度について「合理性がないと断ずるものではない」と述べ、国会で論じ、判断すべき事柄だと述べた。
 保守的な家族観を掲げる自民党が多数を占め、国会の動きは鈍い。だが、社会のあちこちにきしみが出ている。提訴を機に改めて議論を起こすべきだ。


社説[夫婦別姓で提訴]歴史を前に進める時だ
沖縄タイムス2018/1/13(土)0:55配信

 司法は「時代の要請」から目を背けないでほしい。
 日本人同士の結婚で夫婦別姓を選択できないのは憲法違反だとして、男女4人が国に損害賠償を求める訴えを起こした。
 民法の夫婦同姓規定については、2015年に最高裁大法廷が合憲と判断したが、今回は戸籍法の不備を問う新たな裁判である。
 戸籍法の規定では、「日本人と外国人の結婚」「日本人同士の離婚」「日本人と外国人の離婚」で同姓か別姓かを選ぶことができる。「日本人同士の結婚」だけ別姓が選べないのは戸籍法の欠陥であり、法の下の平等を定めた憲法に反するというのが原告側の主張だ。
 東京地裁に提訴した1人、ソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長は、結婚に際し妻の姓を選択した。「名字を変えたくない」という妻の希望に沿ったもので、「名前が二つあったらおもしろそう」と深く考えずに改姓したという。
 ところが仕事では旧姓の「青野」を使用し続けたため、パスポートや株主総会などで戸籍上の姓を強いられ想像以上に支障が出た。銀行口座や印鑑、クレジットカードの名前を変えるのもかなり面倒で、当時保有していた自社株の名義変更には数百万円かかった。
 結婚までに築いたキャリアが分断されないよう旧姓を通称として使用したのに、公的な書類では結婚後の姓を強いられるというストレスは、多くの女性たちが感じてきたことでもある。
   ■  ■
 最高裁が夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのは、「夫婦が同じ姓を名乗り家族の呼び名を一つにするのは合理的で日本社会に定着している」「改姓した女性の不利益は通称使用が広まれば緩和できる」などの理由からだった。

 もちろん結婚相手と同じ名字を名乗ることに絆や幸せを感じる人もいるだろう。逆に、生まれた時から慣れ親しんだ名前の変更に自分が自分でなくなるような喪失感を抱く人も少なくない。
 さらに通称使用をどこまで認めるかの対応は職場によってまちまちで、使い分けの煩雑さが付いて回る。そのため法的に離婚したり、最初から婚姻届を出さずに事実婚を貫く夫婦もいる。
 一方の配偶者に負担を押し付け、結婚の自由を制約する制度が果たして合理的といえるのか。
   ■  ■
 青野さんが訴えるのは「旧姓使用に法的根拠を」だ。同姓か別姓かではなく、別姓希望の夫婦を救うための新たな選択肢の提示である。
 今月、最高裁判事に就任した宮崎裕子さんは、最高裁判事として初めて旧姓を使うことを明らかにした。
 女性の社会進出とともに選択的夫婦別姓を求める声が強まっている。法律で同姓を規定する国は日本以外になく、世界の潮流からも大きく取り残されている。
 別姓を選ぶ自由は、個々の人権が尊重される社会をつくっていく上で不可欠だ。
 歴史を前に進めたい。


社説:夫婦別姓に真剣に向き合おう
日経2018/1/11付

 結婚時に夫婦別姓を選べない戸籍法は、憲法に反する―。ソフトウエア開発会社の男性社長らが、国に損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
 夫婦別姓を選択肢として認めてほしいとの声は根強いが、いまだ実現していない。姓を変えるのはほとんどが女性のため、一部の女性の問題と狭く捉えられることも多かった。今回の提訴は、男女問わず、多くの人にかかわる問題だということを示している。
 裁判はサイボウズの青野慶久社長ら4人が起こした。社長は結婚時に妻の姓に変更し、旧姓の「青野」を通称として使っている。
 日本人と外国人の結婚・離婚や日本人同士の離婚では、戸籍法にもとづき姓が選べるのに、日本人同士の結婚では別姓を選ぶ規定がない点を挙げ、法の下の平等に反するなどと訴えた。
 ビジネス上のマイナス面も多く指摘している。株式の名義変更に多額の費用がかかった、投資家から「社長が株を持っていない」と誤解される、などだ。精神的な負担だけでなく「経済合理性からみても日本の損失」という主張には、説得力がある。
 夫婦別姓を巡っては、法務省の審議会が1996年、民法の「夫婦同姓」規定を見直し、選択的夫婦別姓制度を導入するよう答申した。しかし国民の間でもさまざまな意見があり、改革に向けた議論は止まったままだ。
 最高裁大法廷は2015年、民法の規定を合憲とする初の判断を示した。だが裁判官15人のうち5人は、違憲とした。最高裁判決は姓を巡る制度は「国会で論ぜられ判断されるべき事柄だ」とも指摘している。
 困っている人がいるなら、その不都合を解消する。多様な価値観を尊重する。成熟した社会にとって、当たり前のことだろう。時代の変化に合わせて法制度を絶えず見直すことは、国会の責務だ。夫婦同姓を法律で義務付けている国は、世界でもまれだ。今こそ、真剣にこの問題に向き合うべきだ。


社説:夫婦別姓提訴「法の欠陥」はないのか
中日2018年1月11日

 夫婦同姓の民法規定は「合憲」と最高裁大法廷が判断して2年余り。今度は姓を変えた男性らが原告となり夫婦別姓制度を求め、提訴した。戸籍法を使い、法の欠陥を突く訴訟だ。注目しよう。
 2015年12月に最高裁が現行の夫婦同姓制度を合憲としたのは次の言葉に尽きる。
<家族は社会の基礎的な集団単位で呼称を一つに定めることは合理性がある>
 確かに合理性があることは否定しないし、家族が同姓であることに有利な点が多い事実も否定しない。だが、社会が多様化し、女性が社会進出した現代、旧姓を捨て去ることに不都合を覚え、実際に不利益をこうむる人が多いことも事実なのだ。
 1996年には法制審議会が希望すれば各自の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓制度」案を答申した。それでも強硬に反対する人々は明治民法の「家制度」が頭から離れないのではと疑うほどだ。
 今回、東京地裁に提訴したのはソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長らだ。
「96%が夫の姓」と訴えた過去の訴訟とは異なり、視点が違う。「法の欠缺(けんけつ)」を突いている。難しい法律用語だが、欠陥の意味である。民法ではなく、戸籍法を使っている。
 (1)日本人同士の結婚 (2)日本人と外国人との結婚 (3)日本人同士の離婚 (4)日本人と外国人との離婚-。このうち(1)以外では事実上、同姓か別姓か選択できるのだ。
 (2)の日本人と外国人の結婚は別姓の選択が可能-。つまり日本人同士の結婚の場合のみ別姓を選べない。おかしい。そんな「法の欠缺」がある。原告側はそう主張している。
 ここで憲法を持ち出そう。婚姻について定めた24条である。「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」。むろん14条では「法の下の平等」を書いている。
 そうなると日本人同士が結婚する際に夫婦別姓を選択できないのは憲法違反だ-。これが青野さんらの言い分なのだ。
 昨年9月から全国の裁判所の裁判官や職員の旧姓使用を認める運用が始まっている。判決や令状で同一人物かを確かめるためだ。弁護士も戸籍姓で登録し、旧姓で活動できる。民間企業などでも、もはや当たり前だ。
 判決で「当たり前の扉」が開くだろうか。時代はもうそこまで来ている。


社説:夫婦別姓 選べぬ社会をいつまで
信濃毎日2018年1月10日

 夫婦の同姓を定めた民法の規定を「合憲」と判断した最高裁の判決から2年余り。別姓を選べる制度の実現が一向に見えない現状に対し、新たな形で問題提起する動きである。
 結婚して妻の姓に変えた男性らが、仕事や生活に支障が生じたとして国に損害賠償を求める裁判を起こした。民法でなく戸籍法に着目した点がこれまでと異なる。
 外国人と結婚した場合は、戸籍法の規定に基づいて同姓か別姓かを選べる。なのに、日本人同士だと選べないのは戸籍法の欠陥であり、法の下の平等を定めた憲法に反すると訴えている。
 言い換えれば、民法上は同姓とし、戸籍法を改めて別姓を認める制度の提案だ。子どもは民法上の氏になるので混乱も起きないという。司法の判断によっては“風穴”が開くかもしれない。
 原告の1人でソフトウエア開発会社サイボウズ社長の青野慶久さんは、妻の姓に変えてみて不利益の大きさを痛感したという。仕事で旧姓の青野を使っているが、公式な書類は戸籍の姓にせざるを得ず、手間も費用もかかる。旧姓使用に法的根拠が与えられれば、救われる人は多いと話す。
 夫婦別姓をめぐって男性が訴訟を起こすのは珍しい。結婚で姓を変える男性は少なく、別姓は女性の問題と捉えられがちだ。そのこと自体、憲法が掲げる「両性の本質的平等」が根を張っていない現実を映し出している。
 最高裁は2015年の判決で民法の規定を合憲としつつ、全面的に是としてはいない。改姓による不利益をなくす法制度を作るのは立法府の役割だと指摘した。
 ただ、国会の動きは鈍い。法制審議会が1996年に答申した選択的夫婦別姓制度の導入は先送りされ続けてきた。司法がその状況を承知しながら立法府にげたを預けるのも責任の放棄に等しい。
 改姓は仕事や生活の不便さを伴うだけではない。氏名は人格の基礎である。姓を変えない選択は、尊厳や人格に関わる権利として尊重されなければならない。
 別姓は伝統を壊し、家族の一体感を損なうといった反対論も根強いが、夫婦同姓はそもそも明治期にできた制度だ。アジアでも欧州でも、今やほとんどの国で別姓を選べる。それが家族の崩壊につながっているとは思えない。
 家族のあり方は多様化している。同姓を選ぶ夫婦も、別姓を選ぶ夫婦もいていい。多数派の考えを押しつけず、個人の選択を認める社会を築きたい。
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