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ビッグデータと1984

NSA tapping
Edward J. Snowden氏によるNSA(National Security Agency)による個人通信データ収集の暴露が問題になっているが,George Orwellの"1984"ならずとも,公権力による情報蓄積には危うさを感じる。たとえば民主的な政権であっても,政権交代の結果,独裁政権が誕生しない保証はない。

紙ベースのデータだと,保管コストの関係で行政文書は5年で廃棄されるのが一般的であったが,電子データの場合,記憶媒体のコスト低下に伴って,事実上無期限の保管が可能となるため,公権力による情報蓄積に歯止めを掛ける必要がある。

たとえば図書館の貸出し記録は,本来は対象となる本が返却されれば不要となるはずだが,小学校からの貸出し記録が「マイナンバー」(国民共通番号)によって名寄せされて保存されれば,個人の思想調査が容易に行える。

この種の情報蓄積は民間でも進んでいて,インターネット通販やクレジットカードの利用記録から,個人のプロファイリングがかなりの程度可能であるが,この情報が公的に蓄積された情報と結合されることに強い懸念を感じる。今回のNSA問題は,このような懸念が現実のものであることを示した。

昨今「ビッグデータ研究」がもて囃されるが,技術面が先行し,負の側面に関する議論が置き去りにされている印象がある。しかし適切な管理・運用ルール無しには,ビッグデータは両刃の剣とも成り得る。

たとえば遺伝子情報の蓄積により,特定のがんの危険因子が明らかになることは,病気を予防する上で望ましいが,保険会社にはこのデータをリスク細分型生命・医療保険に利用する誘因が働く。結果的に,個人の責任に帰さない遺伝子型による加入者の選別が生じる可能性があるが,そのような行為は社会正義上許されまい。

マイナンバー制度の発足までに,公的機関による個人情報の保存期間と,適切な廃棄方法に関する議論を盛り上げる必要がある。(画像はAmerican Eagleがケーブルを掴んで盗聴しているというEFFのパロディ)
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