Trolley.Net Blog

http://blog.trolley.net/

地図情報と秘密保護

安倍内閣は国民の大多数が熟議を求める中,「特定秘密の保護に関する法律」(以下「秘密保護法」)を2013年12月6日に強引に成立させた。内閣は一般国民に累は及ばないよう厳格に運用すると言っているが,法律は常に拡大解釈されるものであるから,こと言論や個人の思想信条に関する事項には,明確に制約を設けておくべきである。

たとえば1999年の「国旗及び国歌に関する法律」の場合も,時の首相,小渕恵三は,「政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません。」と答弁したが,現実には学校現場における教員の不起立や,果ては口パクまでが処分の対象となる状況で,為政者の意を体した運用が際限なく拡大する。

自民党を含む与党は両院の絶対多数を維持しているが,その選出過程が各地の裁判所から違憲または違憲状態にあると判断されているため,議会自体の正統性には疑問符が付く。裁判所から要求されている公職選挙法の区割り規定改正には全く動かず,多くが緊急性を感じていない秘密保護法は拙速に通すという態度は,強く批判されて然るべきだろう。

ところで下の2枚は,KDDI八俣送信所付近(茨城県古河市)を示す国土地理院の地形図を比較したものである。左が旧1:25000地形図であり,右が現行のデジタル基本図であるが,左の地図にある送信アンテナの記載が右の地図では消えていることがわかる。短波送信所は戦略的に重要かも知れぬが,衛星画像等により細部まで判る現在では,消したところで意味はない。

1:25000 map of KDDI Yamata. Digital map of KDDI Yamata

戦前の陸地測量部の地形図では,皇室関係の用地は空白にされた。しかし明治時代には,その範囲は皇居吹上地区の御所周辺のみと限定的だったが,大正時代には吹上地区全体,昭和戦前には都内各所の宮家の邸宅まで空白にされ,さらには淀橋浄水場(現在の新宿副都心)は畑地に偽装される等,地図情報の秘匿が横行した。

その時代にも,米軍航空機による航空写真測量が行われていたため,秘匿には戦略上の意味はなく,専ら国民向けであった可能性がある。隠しても意味のないことでも秘密に指定すれば,国民を罪に陥れるには十分だから,政府に対する監視を怠ってはなるまい。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://trolley.blog78.fc2.com/tb.php/188-efb8cb8e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad