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NHK受信料

NHK受信料の義務化を求める意見が再燃している。9月24日,自民党の情報通信戦略調査会・放送法の改正に関する小委員会は,NHKの受信契約の有無に関わらず受信料を徴収する「支払い義務化」を求める提言をまとめた。(毎日新聞) BBCの制度等が引き合いに出されるが,政府からの独立が担保されなければ公共放送とは言えず,「政府が右と言うことを左とは言えない」(籾井会長)ようでは,国営放送そのものである。

日本最古の民間放送であるJOAR(CBC)・JOOR(新日本→MBS)が開局したのは1951年9月であり,放送法旧32条の規定:「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。(以下略)」が施行された1950年5月時点には,受信機(当時はラジオ契約のみ)を設置した段階で,聴取可能な国内放送はNHKと米軍放送(現在のAFN)しかなかった。従って受信機を設置したらNHKを聴くに違いないという推論が成り立った。

しかし現時点ではTVチャンネル数は地上波・BS・CSやケーブルTVの自主制作を合わせて数百のオーダーに達しているから,受信機を設置したからNHKを視るに違いないという推論は成立しない。加えてNHKの「国民生活時間調査」で見ても,テレビ行為者率(テレビを見た人)は,平日で1995年の92%から2010年の89%と微減に留まるが,20歳代女性では90%から78%へ大幅に減少している。ただし国民全体の平均視聴時間は微増しているが,これは視聴時間の長い高齢層の増加によるものである。(「放送研究と調査」2011年6月)

放送は情報財であるから,最初の1チャンネルに対する支払意思額が1000円であったとしても,2チャンネル目は500円,3チャンネル目は200円という風に指数的に逓減する。一方,供給者側の費用はチャンネル数に比例的であり,これを総括原価方式で回収することには合理性が無い。民間の放送事業者が多数存在する中で,NHKがテレビ地上2波・衛星2波・ラジオ3波を持ち,その費用を賄う水準に受信料を定める必然性は皆無だろう。

NHKのチャンネルは,地上・衛星各1波,ラジオ1波で十分だと考えられる。教育テレビは全国放送なので衛星放送に適し,ラジオ第2放送は衛星のサブチャンネルで流せば足りる。地上波は報道・科学・ドキュメンタリーのみとし,娯楽は民間事業者に任せればよい。残りを民間に移管すれば,供給費用は現在の半額以下で済むはずである。アメリカの公共放送はテレビのPBSとラジオのNPRであるが,これらは受信料ではなく視聴者からの寄付と民間企業の協賛で成り立っている。

放送は純粋(地方)公共財であり,本来フリーライドを排除できない。しかし現在では,放送を私的財にする上で技術的困難は無い。公平性の観点からは,支払意思額に応じて支払うこと(リンダール均衡)が望ましいが,支払意思額を正直に申告するインセンティブが働かないとすれば,スクランブルによって料金徴収を行うのが合理的である。しかしNHKは,国民の支払意思額が低いことを知っているので,色々と屁理屈を付けてスクランブル化を拒み続けている。
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