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旧6大都市の敬老乗車制度

旧6大都市は何れも交通局を持ち,戦前から続く路面電車・バスを運営していたが,現在でもすべて地下鉄を含む軌道系交通を運営し,いわゆる「敬老乗車制度」と称する,高齢者等を対象とした運賃制度を有する点でも共通している。


かつてはどこの都市でも乗車証は無料配布され,運賃は無料,利用回数の制限もなかったが,自治体の財政悪化に伴い,すべての都市で利用者負担が導入されている。しかしその方式にはかなりバラつきが見られ,利用時無料を維持するために交付時の負担が高額な都市と,交付時の負担は軽いが,利用の度に割引運賃を支払う都市,更には仙台市のように利用額に上限を設ける都市が混在していて,解りにくい制度になっている。(2016年10月現在)


名称種別交付対象者標準交付
価格[1]
価格幅[2]利用交通機関利用時負担
東京都シルバーパス磁気東京都に住民登録する70歳以上20,510円1,000円
(住民税非課税)
都営地下鉄・都電・都バス・舎人ライナー,八丈・三宅の町村営バス,都内の民営バス無料
横浜市敬老特別乗車証磁気横浜市に住民登録する70歳以上8,000円20,500円~3,200円
(所得に応じて7段階)
地下鉄・市バス,シーサイドライン,市内の民営バス,川崎市バス(特定路線)無料
名古屋市敬老パスIC card名古屋市内在住の65歳以上3,000円5,000円~1,000円
(介護保険料に応じて3段階)
地下鉄・市バス,ゆとりーとライン,あおなみ線無料
京都市敬老乗車証磁気京都市内在住の70歳以上5,000円15,000円~3,000円(所得に応じて4段階)地下鉄・市バス,市バス撤退地域の民営バス[3]無料
大阪市敬老優待乗車証IC card大阪市内在住の70歳以上3,000円地下鉄・市バス・ニュートラム1乗車50円[4]
神戸市優待乗車証IC card神戸市内在住の70歳以上3,000円地下鉄・市バス,神戸新交通,市内民営バス小人料金[5]

※注
[1] 年額を表示。所得等で差を設ける都市では,年所得150万~200万円に相当する標準的な価格を示す。
[2] 殆どの都市では,障碍者や生活保護等の特定の条件により交付額を無料にする制度が設けられている。
[3] 市バス撤退地域では,大原地区の京都バスと山科地区の京阪バス・醍醐コミュニティバスが利用可能。民営バスのみが運行する地域では,民営バス用の乗車証が,市バス・地下鉄証に加えて交付される。
[4] 通常の地下鉄-バス,バス-バスの乗継割引が適用される区間では,2乗車でも50円となる。
[5] 他に低所得者には,無料乗車券30,000円分が交付される。


東京都の場合,利用圏は島嶼部を含む東京都全域と,他都市に比べて広域になっており,更に利用時負担が無いため,交付金額は20,510円と相当高額である。また民営バスに乗車できる点は優れているが,東京メトロが利用できないため,23区内での使い勝手は良いとは言えない。東京・横浜・神戸の3都市は,市域内の民営バスも利用できるが,その他の3市は市営交通(第3セクター運営のものを含む)にほぼ限定されている。関西の大阪・神戸は利用負担金があるため,交付金額は安く,かつ所得による格差が無い点に特徴がある。実際のところ,所得で格差を付ける場合,事務処理が煩雑化し,所得の捕捉も必ずしも公平ではないので,大阪・神戸型の制度が合理性を持つように思える。


ただし全ての都市で,敬老乗車証の対象者を住民登録のある「市民」に限定していることには問題がある。たとえば長年市内のアパートに住んで住民税を払い続けていた人が,退職金で市外(郊外)に自宅を購入したとすれば,敬老乗車証の対象から外れる可能性が大きい。郊外の都市には市営交通が無く,敬老乗車証制度も存在しない場合が多いからである。公共交通は,誰でも差別なく乗れるから "common carrier"であり,敬老乗車証を差別運賃として見れば,公共交通の理念に反する印象を受ける。

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